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私の紹介

|インタビュー|

リフォームによる課題解決と、無垢材を使った家づくりを行う藤田建築の歩み

 

新潟市西蒲区升岡の工務店・藤田建築。越後平野の田園の中にある升岡集落を拠点に、二代目の大工・藤田正史さんが、家づくりやリフォームを行っています。

地域の木造住宅のリフォームを数多く手掛け、西蒲区の厳しい気候風土に合った家づくりを提案する藤田さんのこれまでの歩みや、家づくりに掛ける想いをうかがいました。

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インタビュアー: フリー編集者 鈴木亮平(Daily Lives)
 

1983年生まれ。美術系の大学で建築デザインを学び、旅行情報誌、地域情報誌、住宅情報誌の編集を経て2018年にフリーランスの編集者に。住まいや建築士・工務店を紹介するWEBマガジン「Daily Lives Niigata」を運営。これまで新潟県内500軒以上の住宅を取材。

西蒲区を中心にさまざまなリフォーム案件に対応

鈴木亮平(以下、鈴木):
ではさっそくですが、藤田建築さんのこれまでの歩みを教えて頂けますか?

 

藤田正史(以下、藤田):
藤田建築は私の父が50年くらい前に始めて、会社ではなく個人の大工としてずっとやってきたんです。父は旧潟東村の出身なので、その地域の仕事を中心にやってきました。もちろん一人ではできない仕事もあるので、案件によっては他の大工を呼んでチームで仕事をしてきました。

私は1973年3月生まれで、1991年に高校を卒業した後は、建設会社勤務を経て工務店に弟子入りし大工修行をしていました。

家業の藤田建築に入ったのは私が30歳になる2003年で、その6年後の2009年に事業承継して今に至っています。父は大工は引退して、今は田んぼとイチジクの栽培に専念していますね。

地域柄、農家の大きな家を建てることが多くて、私が家業に入った年くらいまでは稀に土壁を塗ったり、墨付けをして手刻みで木材を加工したりもしていました。

家のつくり方が変わり、今では工場で木材を加工するプレカットが主流になっています。土壁で仕上げることもなくなりましたね。
 

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鈴木:
代替わりをして今は藤田さんがお一人でやっているんですね。
どのエリアでお仕事をすることが多いんですか?

 

藤田:
紹介が中心なのですが、西蒲区でも旧潟東村や旧西川町のお客様が多いですね。だいたい車で20分で行ける範囲で、ほとんどがリフォームの依頼です。

ただ、リフォームと一口に言っても、フルリノベーションから増築、水回りの改修、内装の改修、外壁の張り替え、ガレージの増設など、その要望は様々です。

お客様によっては「大工仕事だけをやるのが大工さん」と思われたりすることもありますが、いろいろな分野の職人と連携して新築やリフォームをしているので、なんでも相談してほしいですね。木造の住宅や店舗に関することならなんでも対応できますので。

鈴木:
新築住宅を中心にしている住宅会社さんはリフォームが苦手なところも多いので、リフォームが得意というのは藤田建築さんの強みですね。藤田さん自身が大工職人として技術を持っているから、うまく対応できるのですね。

断熱リフォームで健康に暮らせる暖かい家に

鈴木:
エリア的に昔ながらの家が多いのかなと思いますが、リフォームを依頼されるみなさんは、どんな住まいの悩みを抱えているのでしょうか?

 

藤田:
だいたい築40年を超えたくらいの、和室の続き間がある大きな家に住んでいる方からの相談が多いんですが、「冬寒い」という悩みが多いですね。西蒲区は風が強いので、古い家の場合は隙間風もすごいんです。床から底冷えしないように床下を断熱したり、断熱性能の低い昔のアルミサッシを最新のサッシに入れ替えたりすると、ずいぶんと暖かくなります。

特に外壁を張り替える時にはサッシの入れ替えを提案することが多いです。この時じゃないとサッシの入れ替えができないですから。まだ新しい外壁の場合は、内窓を付けて二重窓にする提案をします。


鈴木:新築住宅を中心にしている住宅会社さんはリフォームが苦手なところも多いので、リフォームが得意というのは藤田建築さんの強みですね。藤田さん自身が大工職人として技術を持っているから、うまく対応できるのですね。

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鈴木:
ヒートショックという言葉が広く知られるようになりましたが、「家が寒い」というのは命に関わることですから、切実ですよね。断熱リフォームは命を守る仕事と言えますね。

 

藤田:
あと、外壁を直すときに上から重ね張りをする方法もありますが、私は必ず張り替えをお勧めしています。と言うのも、剥がさないと壁の中がどんな状態か分からないからです。

もし壁の中に結露で水が入っていて木が腐ってなくなっていたら…という心配がありますから。繊維系の防水シートが劣化してボロボロになっているというケースもあります。
 

鈴木:
古い家は何があるか分からないですもんね…。寒さ以外ではどんな悩みがあるのでしょうか?

 

藤田:
床の傷みも多いですね。昔の基礎は今のベタ基礎と違って、床下の土が丸見えになっているんです。この辺りは湿気も多いので、古い家の場合は床が傷みやすいんですよ。

鈴木:
家の老朽化が進んでいると、建て替えをした方がいいのかな?と思うケースもあると思いますがいかがですか?


 

藤田:
基本的に建て替えはあまり勧めないですね。問題のある箇所だけリフォームで直せば、その後も住み続けられるからです。構造材が傷んでいても、その部分を新しい木材に取り換えれば解決しますし。それに、せっかく建てた家を簡単に壊した方がいいとは言えないですし。

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鈴木:
なるほど…。それは現場を見て判断し、即対応ができる大工さんの強みですよね。リフォームではどんな空間を提案することが多いですか?

 

藤田:
私自身が木が好きなので、無垢の床を使った空間をお勧めしています。特に杉やヒノキなどの柔らかい木は冬に足が触れた時に温かいですし、癒やされますね。堅い木は傷が付きにくいところがいいんですが、どうしても冬冷たいんですよね。

 

鈴木:
事務所の床も隣のご自宅も杉の無垢フローリングですもんね。経年変化で色が濃くなっているのもいいですね。

住みやすく長持ちすることが最優先事項

鈴木:
次にお仕事のやりがいを教えて頂けますか?

 

藤田:

仕事をしている時は無我夢中で、お客さんが使いやすく快適に過ごせるように考えて施工をするんですが、でき上がった時の達成感や、お客さんが喜んでくれることがこの仕事のやりがいですね。

昔の家は台所と居間が分かれた間取りが一般的で、それを一体のLDKに造り変えるリフォームを依頼されることも多いですが、抜ける柱を抜いて、構造に配慮をしながら理想的な空間を考えていくことも面白いです。

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鈴木:
ライフスタイルの変化に合わせて家を造り変えられるのもリフォームの醍醐味ですよね。
リフォームで大変だなと感じることはありますか?

 

藤田:

リフォームでは元の建物の状況が全て違い、想定外のことがたくさん起こります。常に悩み考えることになりますが、それがリフォームの難しさですね。解体をしてみたら構造材がシロアリに食べられていたり、浴室などの水回りが想像していた以上に傷みが激しかったり。

ただ、経験から大体どのあたりがあやしいかをなんとなく見抜くことができますので、壁などを解体する前にある程度の劣化具合は予測しながらやっています。
 

鈴木:
長年建物を見てきた経験があるからこそですね。建築の仕事で大事にしているのはどんなことですか?

 

藤田:

とにかくお客さんの立場になって深く考えて、住みやすく、長持ちする家にしてあげることですね。お客さんの生活スタイルから、使いやすい間取りを考えながら施工を行っています。

デザインももちろん大切ですが、住みやすく長持ちすることの方に重きを置いています。

あとは、当たり前のことですが、やらなければいけないことは手を抜かないということ。

それから、場合によっては直すことが難しい建物全体の歪みもありますので、そこはきちんと説明をしてご理解を頂けるようにしています。

鈴木:
リフォームは新築と違って、歪みなどを完全には直せないと聞きます。
そのあたりのコミュニケーションも大事になってきそうですね。

大好きな木をふんだんに使い、環境に配慮した家をつくる

鈴木:
次に藤田建築さんの強みを教えて頂けますか?

 

藤田:

大工職人である私がやっているので、現場での臨機応変な対応が求められるリフォームがスムーズにできることですね。

それから、手刻みで木材の加工ができるので、造作の棚やテーブルなどの家具はもちろん、階段をゼロから造ることもできます。プレカットが広まって手刻みをする機会が減っているので、最近は階段を造れない大工さんも多いんですよ。

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鈴木:
営業マンを介さないスピード感やフットワークの軽さは、藤田さんのように個人で建築をされている方の強みですね。では、最後に今後の目標を教えて頂けますでしょうか?

 

藤田:

これまでリフォームを中心にやってきましたが、新築の相談も増えています。

外壁には耐久性・耐候性が高い木を使い、内装にも温かみのある木をふんだんに使った家づくりをしていきたいと思っています。

木にこだわるのは、単純に自分が無垢材が好きということもありますが、なるべく将来的にゴミになってしまう建材を使いたくないという理由もあります。

木は焼却もできますし、リメイクをして生かすこともできます。それに、昔から使われてきた建材なのでこれから先もずっと入手しやすい建材でもあります。

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鈴木:

たしかに、新建材では焼却処分やリサイクルが難しいものが多いですよね。地元の木を使えば、地域経済の活性化にもつながりますし、輸送によるコストやエネルギーも抑えられるので、そういう点でも環境にも優しく理に適っているように思います。

木にこだわった藤田建築さんの家づくり。これからどんな新築住宅を手掛けられるのか楽しみにしています。

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